同窓生の活躍【碧海野会】愛知県立安城東高等学校同窓会

安城更生病院 脳神経内科   9回生 杉浦 真さん

2020/07/31

『医療現場から思うこと』

 みなさん、こんにちは。9回生の杉浦真と申します。
 わたしは現在、安城更生病院脳神経内科の医師として働いています。脳神経内科とは主に脳の疾患(脳梗塞やパーキンソン病、認知症など)を扱う診療科です。社会の高齢化とともに患者数は増加しており、今後さらに重要な役割を担うことが予想されます。


 現在の日々の診療は在宅医療、終末期医療(緩和ケア)などが中心です。特に最近は臨床における倫理的問題の解決に取り組んでいます。医学とは科学を応用する分野であり、倫理とは無縁と思われている方も多いと思います。では、医学的に正しいこと(エビデンス)に基づいて医療を行えば、すべての患者さんは満足するでしょうか?実は決してそうではありません。「仕事があるから入院したくない」「(副作用の強い)抗がん剤治療を続けたい」など、患者さんとの治療方針の決定に悩む場面が多くあります。私たちは、それぞれに価値観や物語(ナラティブ)をもっています。価値観はどちらが正しいとか、どちらが優位であるということはありません。そのために対立も生じます。医療とは“その人にとっての最善”とは何なのかを、患者さんとの対話を通して進めていく協働作業なのです。
 ちょうど今、100年に1度のパンデミックと言われる新型コロナ感染症(COVID-19)により多くの人たちがつらい時を過ごしていることと思います。未知のウイルス、医療の不確実性に加え、個々の人たちの価値観の違いによってさまざまな対立が生じています。しかし、この世に絶対的な真実や基準は存在しません。私たちの生きている社会は主観的な世界であり、相対的なのです。このような時期だからこそ私たちは価値観の多様性を認識し、相手の声に耳を傾け、尊重する姿勢が大切なのだと思います。